iPod用ライントランス(昇圧&バランス変換)


iPodとかヘッドホン端子を搭載した機器の出力を昇圧してバランス変換(アンバランス対応可)する
ライントランス(ダイレクトボックス)です。
だいぶ昔に製作したので記事にしていなかったのですが、
これを通すと明らかに音が良く聴こえると知人らにあまりにも評判がいいので当時の資料と記憶を
掘り起こして掲載しておきます。
iPod(写真はnano4G)、iPadなどでも音質確認済みです。
これぞ良きトランスのサウンドだと思います。一聴の価値アリ。






■特注トランスA28-184のメーカー公表資料

(クリックで拡大)

※結線について写真の機器ではスイッチ等がついていますが、
基本的には一次側は橙:信号入力、灰:GND、紫:出力Hot、緑:未接続、茶:Coldで
GNDは入力、シャーシ、出力で全て結線します。出力をアンバランスにする場合は加えて
茶もGNDに接続します。
なお、高域補正のため出力のHot-Cold間に1000pFフィルムコンデンサを接続しています。
→1000pFフィルムコンデンサ+7.5kΩ抵抗を直列にしたものを接続、に変更

ソース機器の出力インピーダンスや出力側の機器の負荷インピーダンスが一定にならなくとも
一定の性能が出るように考慮して製作されたトランスです。
携帯プレーヤ等の機器の出力インピーダンスはiPodで6Ω程度ととても低く、他の機器では
大きいもので100Ω近いものもあるようです。ソースのインピーダンスがあまりにも高いと
低域のレベル低下につながったりするようです。
また、出力側の負荷インピーダンスは一般的なライン端子の数KΩ〜100Ωを想定していますが
600Ω負荷でも多少のレベル低下があるものの、実用レベルの周波数特性が確保できており対応可能です。


■周波数特性 (ソースインピーダンス40Ω、負荷10kΩ、発振器出力0dBu)

(クリックで拡大)

40Ωというソースインピーダンスはヘッドホン端子としては高めの部類であり、
出力に1500pFコンデンサが挿入されていることもあって20kHzくらいで急激なLPFを
形成している。ノイズ対策などを考えると良好な特性である。
なお、ソースのインピーダンスの高さに起因して僅かながら低域のレベル低下がみられた。



■歪率 (ウエイト無し、ソースインピーダンス40Ω、負荷10KΩ、発振器出力0dBu)


1kHzあたりから低域にかけて歪率が上昇するのはトランスらしい特性だといえ、
この特性こそがトランスの音質を構成しているのではないかと思われる。
ちなみにソースのインピーダンスが高いと歪率も上昇する傾向にあるようだ。

また、このトランスはパーマロイコアを使用しているが、他にオリエントコアで作成したものもある。
どちらも周波数特性など良好ではあったものの、聴感での評価が良いのはきまってこのパーマロイコアの
ものであって、オリエントコアの方は何故か誰が聴き比べても良いと言わない。
このあたりの特性の違いにトランスの音質の良さのヒントが隠されている気がする。


■実際にiPodを接続しての周波数特性

測定機材の都合で20kHzがカウントされておらずすみません。
実際にiPodを接続した場合は先ほどのに比べソースのインピーダンスが低いため、
若干異なった値が測定された。低域に関してはレベル低下が少なく、高域は若干上昇
傾向となった。出力側のケーブルの線間容量や負荷の容量性でも変動するため、現状で
十分実用範囲だと思われるが、気になるようであればコンデンサの値を増やしても良いかもしれない。
ともあれ聴感上での評判があまりに良かったため、この点はこれ以上追求していない。
→最終的に1000pFフィルムコンデンサ+7.5kΩ抵抗を直列にしたものを接続、に変更


■参考資料 コア材による特性の違いなど。

資料が残っていたので備忘録を兼ねて掲載しておきます。
なお、昇圧を行っているためiPodの出力をそのまま機器に接続した場合と比較して
15dB以上のレベルが稼げ、直接接続した場合に音量が小さい問題も回避できます。
なおiPodの音量の最大時、0dBFsの信号再生で出力レベルは+18dBuにも達するため
業務用の+4dBuラインレベルの機器に接続しても十分に実用できる信号レベルを達成しています。


また問い合わせ等ありましたら加筆修正します。


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